2020-01-01から1年間の記事一覧

ESG投資とパフォーマンス 湯山智教

ESGと受託者責任 1)伝統的とらえかた ESGがフィナンシャルリターンを生み出さない場合は、受託者責任に反する。ERISA(従業員退職所得保障法)の解釈。 2)ESG配慮義務としての受託者責任 長期的サステイナブルな社会実現のため、機関投資家も考慮べきで…

自由と秩序 猪木武徳

自由の思想が本来的にもつ問題が、二極化、大量失業、その反動の社会主義経済、歴史的には戦争などを生じさせた背景にある。 20世紀、多くの国で、民主制と、市場経済システムを通じて、自由と平等を追い求めたが、本来的に抱え持つ問題が顕在化した。リベ…

経済学に何ができるか 猪木武徳

人間は両立し得ない2つの欲求を同時に満たそうとすることがある。自由と平等のように。 この矛盾をうけいれたことを忘れがちで、かつ、忘れたことすら忘れている。賢い人は、自分の中にいる、偏りのない観察者(inpartial spectator) にしたがって、公正で…

資本主義の新しい形 諸富徹

ロバートゴードン氏(米エコノミスト): 1970年以降成長率一貫して低下。その理由は、一回限りの大変化が産業に与える影響が減退したため。ゼロから自動車やエアコン、携帯、スマホが登場した時のインパクトは、それらが改良される事による成長力よりも大きい…

財閥の時代 武田晴人

財閥の特徴:封鎖的所有と多角的事業経営体 総有制:所有者は配当は得られるが、株式の処分は認められない。次の世代に営業資産を拡大して引き継ぐ義務をもつ。 三菱は西南戦争と台湾出兵の軍事輸送で海運事業を急速に伸ばした 三菱一辺倒に批判が出たため、…

日本人の経済観念 武田晴人

欧米を普遍的価値として、日本を分析するという社会科学社への異議申し立て。 相対化した分析を試みる。 三井の大元方(おおもとかた)制度 同族の共同出資形態。持分に相当する財産分割や処分は、永代にわたっって認められなかった。 個人の利益・権利より…

高度成長 武田晴人

日本の独立は、アメリカの対アジア・太平洋地域の戦略の一環として成し遂げられた もの。中国脅威論(米国)から、日華平和条約を結んだ相手は国民政府(台湾)だった。 高度成長の成長率目標は5%。生産性改善による失業を吸収するほどの成長としてはこの…

仕事と日本人 武田晴人

新自由主義:豊かさ追及のため何よりも経済成長が必要という考え方 市場原理主義、市場至上主義 自由と労働は対局の概念として定着した。 古くはギリシャ時代の奴隷制のもとで労働は人間活動の基本的な要素としてはとらえられなかった。また、キリスト教の教…

脱・成長神話 武田晴人

1960年以降GDPの成長が続く一方、生活満足度はあがっていない 日本以外の先進国も同様 アダムスミスやJSミルは、所得の増大がいずれ意味をなさなくなる(成長が幸福につながらなくなる閾値がある)と予測していた (ベンサムの)最大多数の最大幸福、の解決…

歴史を精神分析する 岸田秀

日本は、自閉的共同体の集まり。 唐という大帝国の脅威に対抗するため、豪族がそれぞれの自閉的共同体のまま、 軍事的、思想的統一がないままに、国家らしい形にまとまった。その象徴が天皇。 複数の自閉的共同体があつまって、日本という大きな共同体になっ…

日本開国 渡辺惣樹

1853年ペリー来航、翌年大艦隊を率いて浦賀に再来航し、日米和親条約を結ぶ。 その2年後、タウンゼント・ハリスが来日したときは、通訳がついただけで護衛兵士もおらず、孤独に通商条約締結を進めていった。 著者の問題意識はこの差にあった。 アメリカ…

再読価値のある著書

チャイナエコノミー:アーサークローバ 日本経済史:武田晴人 ライシャワーの日本史:エドエウィンライシャワー 良い経済学悪い経済学:ポールクルーグマン 最強の投資家ウォーレンバフェット:牧野 洋

中国ナショナリズム 小野寺史郎著 中公新書

(ポイント) 西洋化や日本からの武力圧力から基層社会でのナショナリズムが育っていく。その感情的ナショナリズムを利用して政治活動を行う一方、現実的外交政策の足かせにもなりうる。議会制民主主義でないため、統治の正当性の根拠(国民の利益の代表)を…