日本人の経済観念 武田晴人
欧米を普遍的価値として、日本を分析するという社会科学社への異議申し立て。
相対化した分析を試みる。
三井の大元方(おおもとかた)制度
同族の共同出資形態。持分に相当する財産分割や処分は、永代にわたっって認められなかった。
個人の利益・権利よりも、企業・組織を存続させる。
(分割をくりかえし小規模経営に転落し競争力を失うことを避けるため、相続も単独相続とした。たわけもの、の語源。)
これを、総有という。個人の所有権と相対する概念。
同族は、専門経営者に介入せず、合議により意見を反映させるだけ。
結果として、アメリカ式の経営者資本主義と同様。
日本の場合、過当競争の弊害を排除するため、共存共栄のため、協調と話し合いが重視された。
日本の伝統的な話し合いによる決定方式は、民主主義の多数決原理とは異なり、勢力や支配力に応じた発言力が作用している