日本史の論点 中央新書編集部

大名の領地変更は、江戸時代頻繁に行われた。 参勤交代のため、時間をかけた領地運営ができないため、従来のやり方を踏襲することが多かった。前例主義。また、年貢を増加させたくとも、周りの藩よりも高いと農民の反感をあおり、トラブルのもとになるため、…

藤原道長の日常生活 倉本一宏

平安貴族の政務や儀式は質量ともに激烈なものだった。めったに休日もなく、政務は深夜まで続いた。 現代のようにさまざまな職種・職業のない時代、中央官人社会においての栄達だけが、子孫を存続させる唯一の方法だった。 当時は、儀式を先例通りに執り行う…

満州事変から日中戦争へ 加藤陽子

1920年代、日本はヴェルサイユ・ワシントン体制と協調する道を選択した 韓国併合、南満州、東部内蒙古の勢力範囲も、欧米ロシアなどの同意と承認があって初めて実現可能であった。 幣原外交は、満蒙権益は条約に基礎を置く確固としたもので、だれが中国を支…

中国経済講義 梶谷 懐

資本過剰蓄積: 投資収益低下で消費の方が有利にもかかわらず、消費が抑制され資本投資が続くこと 1989-の江沢民の経済政策 海外資本誘致、国有地払い下げ、財政のインフラ投資。 胡錦濤(2002-2012) これらの政策を加速して、労働分配率低下を招く。社会保障…

アメリカ政治の壁 渡辺将人

理念の民主と利益の民主 共和党は理念に基づく訴えによって階層的利益に反する投票をさせる理念の政治利用に成功した リバタリアン 自由至上主義者 アーミッシュ 電気も自動車も使わず生活するプロテスタント ハードハット暴動: 1970年ヘルメットの建設労働…

キッシンジャー回想録 中国 ヘンリーキッシンジャー

孔子 儒教的考え。 個人的救済へと向かうものではなく、個人の正しい行動を通じた国家の救済を目的としていた。 個人の来世への道ではなく、現世の社会に向けて、社会的行動の規範を確認するもの。 孫子 軍事的思想とは区別され、心理的、政治的要素に重点が…

習近平の中国経済 石原亨一

富強、効率、公正のトリレンマ 3つ同時に満たすことはできない 2013年、全面的改革深化というスローガンのもと、習近平、李克強政権設立 国有企業のアイスキャンディー論:食べないでいると溶けてしまう。早く民営化するべき。。 ウイグル自治区: 1970年代…

行動経済学 依田高典

ヒューリスティック: 簡便な解決方法を用いて最適でなくとも満足のいく解決方法を導くこと。 効用の最大化ではなく、満足化 株式のリスクプレミアム: 過去の実績のリスクプレミアムを危険回避度だけから求めると確実性等価(株価)は著しく低くなってしま…

アメリカの経済政策 中尾武彦

大いなる緩和 (great moderation) GFC直前の数年間の安定的好景気 三つ子の赤字:経常赤字、財政赤字、家計の赤字 アメリカ労働者 移民が15%を占める メディケア、メディケイド 二つの公的医療制度 GDPの伸びを上回るスピードで負担が拡大。医療の進歩、…

失敗の本質

日本軍が太平洋戦争で敗北するに至った組織的欠陥 本来国の行動はグランドストラテジー(基本的戦略)に基づくもの。 日本軍の目的は曖昧なことが多かった。 長期戦になれば相手の戦意が落ちるだろうという楽観。 短期決戦志向の積み重ねで、失敗の際のプランB…

幕末史 半藤一利

反薩長史観 幕末のギリギリの段階で薩長は暴力にすぎなかった。 戊辰戦争は、国策が、開国として一致したのに、徳川側に無理な要求をして戦争に持ち込んだ。 維新とは革命だった。 次にどんな国家を建設するのか青写真もなく、権力闘争が10年程度続いた。 大…

三島由紀夫 悲劇への欲動 佐藤秀明

前意味論的欲動 言語化し意味として決定される以前の体験や実感に表れた、何物かに執着する深い欲動 身を挺する 悲劇的なもの

男子の本懐 城山三郎

浜口雄幸、井上準之助による金解禁 金解禁: 金の輸出禁止措置を解除すること。 もともと世界各国は、金本位制をとり、金の自由な動きを認めていたが、第一次大戦で経済混乱に陥り、金を自国内に温存しようとして輸出禁止を行った。 日本も1917年、寺内…

ESG投資とパフォーマンス 湯山智教

ESGと受託者責任 1)伝統的とらえかた ESGがフィナンシャルリターンを生み出さない場合は、受託者責任に反する。ERISA(従業員退職所得保障法)の解釈。 2)ESG配慮義務としての受託者責任 長期的サステイナブルな社会実現のため、機関投資家も考慮べきで…

自由と秩序 猪木武徳

自由の思想が本来的にもつ問題が、二極化、大量失業、その反動の社会主義経済、歴史的には戦争などを生じさせた背景にある。 20世紀、多くの国で、民主制と、市場経済システムを通じて、自由と平等を追い求めたが、本来的に抱え持つ問題が顕在化した。リベ…

経済学に何ができるか 猪木武徳

人間は両立し得ない2つの欲求を同時に満たそうとすることがある。自由と平等のように。 この矛盾をうけいれたことを忘れがちで、かつ、忘れたことすら忘れている。賢い人は、自分の中にいる、偏りのない観察者(inpartial spectator) にしたがって、公正で…

資本主義の新しい形 諸富徹

ロバートゴードン氏(米エコノミスト): 1970年以降成長率一貫して低下。その理由は、一回限りの大変化が産業に与える影響が減退したため。ゼロから自動車やエアコン、携帯、スマホが登場した時のインパクトは、それらが改良される事による成長力よりも大きい…

財閥の時代 武田晴人

財閥の特徴:封鎖的所有と多角的事業経営体 総有制:所有者は配当は得られるが、株式の処分は認められない。次の世代に営業資産を拡大して引き継ぐ義務をもつ。 三菱は西南戦争と台湾出兵の軍事輸送で海運事業を急速に伸ばした 三菱一辺倒に批判が出たため、…

日本人の経済観念 武田晴人

欧米を普遍的価値として、日本を分析するという社会科学社への異議申し立て。 相対化した分析を試みる。 三井の大元方(おおもとかた)制度 同族の共同出資形態。持分に相当する財産分割や処分は、永代にわたっって認められなかった。 個人の利益・権利より…

高度成長 武田晴人

日本の独立は、アメリカの対アジア・太平洋地域の戦略の一環として成し遂げられた もの。中国脅威論(米国)から、日華平和条約を結んだ相手は国民政府(台湾)だった。 高度成長の成長率目標は5%。生産性改善による失業を吸収するほどの成長としてはこの…

仕事と日本人 武田晴人

新自由主義:豊かさ追及のため何よりも経済成長が必要という考え方 市場原理主義、市場至上主義 自由と労働は対局の概念として定着した。 古くはギリシャ時代の奴隷制のもとで労働は人間活動の基本的な要素としてはとらえられなかった。また、キリスト教の教…

脱・成長神話 武田晴人

1960年以降GDPの成長が続く一方、生活満足度はあがっていない 日本以外の先進国も同様 アダムスミスやJSミルは、所得の増大がいずれ意味をなさなくなる(成長が幸福につながらなくなる閾値がある)と予測していた (ベンサムの)最大多数の最大幸福、の解決…

歴史を精神分析する 岸田秀

日本は、自閉的共同体の集まり。 唐という大帝国の脅威に対抗するため、豪族がそれぞれの自閉的共同体のまま、 軍事的、思想的統一がないままに、国家らしい形にまとまった。その象徴が天皇。 複数の自閉的共同体があつまって、日本という大きな共同体になっ…

日本開国 渡辺惣樹

1853年ペリー来航、翌年大艦隊を率いて浦賀に再来航し、日米和親条約を結ぶ。 その2年後、タウンゼント・ハリスが来日したときは、通訳がついただけで護衛兵士もおらず、孤独に通商条約締結を進めていった。 著者の問題意識はこの差にあった。 アメリカ…

再読価値のある著書

チャイナエコノミー:アーサークローバ 日本経済史:武田晴人 ライシャワーの日本史:エドエウィンライシャワー 良い経済学悪い経済学:ポールクルーグマン 最強の投資家ウォーレンバフェット:牧野 洋

中国ナショナリズム 小野寺史郎著 中公新書

(ポイント) 西洋化や日本からの武力圧力から基層社会でのナショナリズムが育っていく。その感情的ナショナリズムを利用して政治活動を行う一方、現実的外交政策の足かせにもなりうる。議会制民主主義でないため、統治の正当性の根拠(国民の利益の代表)を…