仕事と日本人 武田晴人

新自由主義:豊かさ追及のため何よりも経済成長が必要という考え方

市場原理主義、市場至上主義

自由と労働は対局の概念として定着した。

 

古くはギリシャ時代の奴隷制のもとで労働は人間活動の基本的な要素としてはとらえられなかった。また、キリスト教の教義の禁欲的生活からも生存を支えるためだけえの課業に価値がみいだされなかった。原罪に結びついたもので、原罪のゆえに行われなければならない課業とみなされていた。

 

だからこそ、プロテスタントの教養が現生的な利益の追求を、神の教えに反するものではないとしとことは新鮮な刺激だった。マックスウェーバープロテスタンティズムの倫理と資本主義精神が、近代資本主義の聰明期のきっかけとなった。

 

その後近代の労働観は、主体性の喪失、労働疎外へとすすみ、マルクス経済学の批判を受ける。

 

株主の利益を重視する企業経営においては、労働は人手すなわしコストとしか労働者をみていない、これがむしろ肯定的に理解されている。

 

経済学は市場での取引に関心を集中させすぎているため、現場の解明の努力を怠ってきた。

各人がそれぞれの持ち場を誇りと自己規律と責任をもって担当できる独立した人格となること、互いを認め合い、才能の差個性の差を相互に助けあう出発点となる。

 

過剰消費と過剰労働の見直しによって、働き方をかえて(金だけに依存しない)、主体的な選択のできる強い個人を作り出す必要がる。

 

その方向の実現を阻んでいるのが株主の利益の優先という営利企業中心の考え方。