行動経済学 依田高典

ヒューリスティック

簡便な解決方法を用いて最適でなくとも満足のいく解決方法を導くこと。

効用の最大化ではなく、満足化

 

株式のリスクプレミアム:

過去の実績のリスクプレミアムを危険回避度だけから求めると確実性等価(株価)は著しく低くなってしまう。これを株式リスクプレミアムの逆説という。
投資家は、長期投資の収支ではなく、単年度の心理会計上区分を行っている、近視眼性をもつこと。

また、投資家は、相場の変動を嫌っているのではなく、損失をだすことを嫌っている、損失回避性が強い。

近視眼的、損失回避的投資家が多いため、リスクプレミアムが高くなる。

 

 

 

アメリカの経済政策 中尾武彦

大いなる緩和 (great moderation) GFC直前の数年間の安定的好景気

 

三つ子の赤字:経常赤字、財政赤字、家計の赤字

 

アメリカ労働者 移民が15%を占める

 

メディケア、メディケイド 二つの公的医療制度

GDPの伸びを上回るスピードで負担が拡大。医療の進歩、インフレ反映させた価格で伸び率がたかかった。

日本は、国民皆保険で、いわば国がひとつの独占的保険者として医療費抑制に努めているが、米国は、製薬会社の自由度が優先されている。

 

日本でも1984年に預金金利自由化。

1973年のオイルショック以降国債残高増加し新しい市場金利商品を生み出したこと、そのころには企業も資金余剰主体となり運用利回りを追求しはじめていた。

 

SOX法 さーベンス・オクスレー法 企業統治に関する規制。エンロンワールドコムの会計スキャンダルを踏まえ2002年に制定された。ワールドコムはリーマン破綻まで世界最大規模の破綻だった。。(破綻後はベライゾンに買収された)

 

 

 

 

 

失敗の本質

日本軍が太平洋戦争で敗北するに至った組織的欠陥

本来国の行動はグランドストラテジー(基本的戦略)に基づくもの。

日本軍の目的は曖昧なことが多かった。

長期戦になれば相手の戦意が落ちるだろうという楽観。

短期決戦志向の積み重ねで、失敗の際のプランBもなかった。情報戦を軽視していた。インクルメンタルな対応しかできず、大局をみた判断ができなかった。

日本は演繹的でアメリカはグランドストラテジーに基づく帰納法的だった。

日本の組織はシステマティックでなく、人的つながりつ中心で、勝てないと分かっていても反対できる空気がなかった。

行動を起こし、全体を見て反省するというダブルループがなかった

 

幕末史 半藤一利

薩長史観

幕末のギリギリの段階で薩長は暴力にすぎなかった。

 

戊辰戦争は、国策が、開国として一致したのに、徳川側に無理な要求をして戦争に持ち込んだ。

維新とは革命だった。

次にどんな国家を建設するのか青写真もなく、権力闘争が10年程度続いた。

大久保が、薩長を優遇し政府主要ポストを占めて、公私混同し党派的不公平として人材流出していった。

最後は、西郷と大久保利通の私闘だった。西郷は毛沢東と同様古代的道徳主義の革命家、大久保は、超合理主義国家建設と秩序を目指していた。

 

 

男子の本懐 城山三郎

浜口雄幸井上準之助による金解禁

 

金解禁:

金の輸出禁止措置を解除すること。

もともと世界各国は、金本位制をとり、金の自由な動きを認めていたが、第一次大戦で経済混乱に陥り、金を自国内に温存しようとして輸出禁止を行った。

日本も1917年、寺内内閣で金の輸出を禁止。

非常事態における非常手段だった。

 

金本位制の下では、紙幣は兌換券として機能する。各国の金貨の金含有量によって交換比率も法定化されている。

 

輸出が増えれば、金が流入し、これに比例して自動的に通貨が増発される。

すると国内物価が高騰し、輸出が伸びなくなり、輸入が増えて輸出入がバランスする。

輸入が増えれば、金が流出し、中央銀行は紙幣の発行を減らすことになるのでデフレが起き、物価が下がる。価格の国際競争力がでて輸出が伸びる。

国内物価と国際物価を連動させるビルトインスタビライザー。

 

1923年には金の解禁が始まる。多くの国は金本位制へ戻った。残ったのは日本とスペインだけだった。

通貨が不安定になり乱高下し、為替投機化が暗躍。為替差損をおそれて経済活動も縮小する。これを解決させるため金本位制へ戻る必要があった。

 

もうひとつの狙いは、軍部の膨張の抑制。

軍部の拡張主義が続き、軍事費を増大させようとしていた。金本位制であれば、通貨をむやみに発行することはできないので自動的にブレーキがかかる。

 

井上らは、緊縮財政を行い、円の価値をあげ(法定レートにもどし)たうえで金本位制への復帰をめざしたが、緊縮ー不況をもたらす。

 

ESG投資とパフォーマンス 湯山智教

ESGと受託者責任

1)伝統的とらえかた

ESGがフィナンシャルリターンを生み出さない場合は、受託者責任に反する。ERISA(従業員退職所得保障法)の解釈。

2)ESG配慮義務としての受託者責任

長期的サステイナブルな社会実現のため、機関投資家も考慮べきであり、ESG要素を考慮しないことの方が受託者責任に反する。

 

1)は、投資リターンを犠牲にすることは許されないという主張、1994年以来つづいた。オバマ政権で2015年に経済的利益を前提としてESGをうけいれたが、トランプ政権で再度、過度なESG重視や経済的リターンの犠牲を禁止した(2018)。

2)は日本のスチュアードシップコードや、ESG統合投資(インテグレーション)が該当する。法的拘束力はないが、ソフトローとしての義務。

ただし、受益者の利益のなかに、経済的利益も含めてよいとまではいっていない。

経済的利益を前提としたESG活動がもとめられる。

ESG要素を投資分析と意志決定プロセスに組み込む。

投資回避(ダイベストメント)は分散投資効果が低下するとされ、求められてはいない。

 

スチュアードシップコード

投資において当該企業の状況を的確に把握すべき、とする項目は、リスク、収益機会(社会、環境問題に関するものを含む)とされ、ガバナンスとともに、ESGすべてが把握すべき項目に含まれた。

20年3月のコード改定時には、建設的対話を通じてリターン拡大を図る、とある。

サステナビリティをどう考慮するか検討した上で、当該方針において明確に示すべき。と指摘。

投資リターンの拡大を目的にしているので、一律に ESGの考慮をもとめるものではない。

 

ベータの向上

市場全体のリターン底上げをはかるためエンゲージメントを通じて働きかけを行う。

GPIFのようなユニバーサルオーナーにとっては有効な方法といえる。

 

キャピタルコンストレイントとエージェンシーコスト

優れたCSR活動を行う企業は透明性の伴う情報の非対象性が低下、ステークホルダーに対するエンゲージメントを通じたエージェンシーコストの低下、によって、資金制約の低下(資金アクセスの改善)につながる。

 

グリーンウォッシュ、ESG wash

懸念。過度な開示

 

パフォーマンスとESGの相関

多くの研究がみられるが有意な相関はみられない。対象地域、期間、使用するスコア、分析手法の違い、のため。

マイナスの相関もみられてはいない。